核戦争により荒廃した近未来のパリ。元ピエロの青年ルイゾンは、職を求めてある精肉店(デリカテッセン)にやってくる。アパート兼店舗の建物のなんでも屋として雇われたルイゾンは、住み込みで働き始め、一癖も二癖もあるアパートの住人たちと過ごす日々を送る。しかし、店の主人には、ルイゾンのような流れ者を殺しては肉にして売っているという、恐ろしい秘密があった。主人の娘ジュリーは、心優しいルイゾンに好意を抱き、父の魔の手から彼を救おうとするのだが。ジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロの共同監督。出演はドミニク・ピノン、マリー=ロール・ドゥーニャら。
後に「アメリ」でヒットを出す、監督ジャン=ピエール・ジュネらによる作品。当映画は、世紀末な殺人精肉店(デリカテッセン)が舞台。核戦争後の荒廃したフランスのパリ、階下で精肉店を営(いとな)み、階上はアバートで貸している「デリカテッセン」の主人は、食糧不足のなか、アパート住人をバラして人肉販売していた。カニバリズム(人間が人間の肉を食べる行為)のブラックな話で、そのまま描くと非人道的で殺伐(さつばつ)としたものになりがちだからなのか、全体にレトロフューチャー(原始未来)な懐かしい感じの未来風景や、不思議と和(なご)む劇中演奏の音楽らの工夫が見られる。また「デリカテッセンの主人の部屋から聞こえるリズミカルなベッドのきしみ音が、アパート全体の住民に伝播するリズムネタ」「自殺を何度も試みるが毎回、失敗する女性住人シリーズ」などのギャグも満載。この辺りに人肉食のブラック映画だが、そうしたブラックさ緩和のための、作り手の常識への配慮とセンスの良さを感じる。4(5点満点中)
