1967年、激動期の香港。かつて愛した人を忘れられず、女性たちと刹那的な関係を繰り返す作家チャウは、滞在先のホテルで近未来SF小説「2046」の執筆に取りかかる。小説の登場人物たちはアンドロイドが客室乗務員を務める列車に乗り込み、そこへ行けば失われた愛を見つけることができるという「2046」を目指す。チャウは小説に自らの日常を反映させ、主人公の男に自分自身を投影しながら執筆を進めていく。監督・脚本はウォン・カーウァイ。出演はトニー・レオン、チャン・ツィイー、コン・リーら。
日本の木村拓哉が香港映画に出たということで、公開時に話題になった本作。ただこの映画は、監督・ウォン・カーウァイの過去作品よりの続き物なので「2046」鑑賞の前に、以前の「欲望の翼」(1990年)と「花様年華」(2000年)を観ておいた方が良いかも。「欲望の翼」で若くして亡くなったレスリー・チャンを未だ思い続けるカリーナ・ラウは出てくるし、「花様年華」でのマギー・チャンとの過去の恋愛を引きずるトニー・レオンが今般の「2046」の主演である。ウォン・カーウァイ映画では主演常連のトニー・レオンを始めとして、今回はアクションをやらないチャン・ツィイー、監督の秘蔵っ子で若手のフェイ・ウォン、暗い過去を抱える珍しい役のコン・リーら、劇中にて魅力的な俳優が多数。全体に、もう無邪気には遂行できない「大人の恋愛」が描かれている。作中近未来小説「2046」での、「ミステリートレインに乗車の、愛の感情をなくした哀(かな)しみのアンドロイドたち」の適時、挿入の構成も、なかなか見ごたえがある。5(5点満点中)
