0059「不思議惑星キン ザ ザ」(1986年)

ある日、建築技師のマシコフは、「あそこに自分は異星人だという男たちがいる」と困った様子の学生ゲデバンに助けを求められる。異星人など信じられないマシコフが、その男たちが持っていた空間移動装置のボタンを押すと次の瞬間、マシコフとゲデバンは地球から遠く離れたキン・ザ・ザ星雲のプリュク星へとワープしていた。そこでは何故か地球のマッチが貴重品で、2人はマッチの価値を利用してなんとか地球へ帰ろうとするのだが。ソビエト連邦時代のジョージア(グルジア)で制作され、当時のソ連で大ヒットを記録した脱力系SFコメディ。監督はゲオルギー・ダネリア。出演はユーリ・ヤコブレフ、レベン・ガブリアーゼら。

クー。これは怪作。旧ソ連の映画であり、SFに付き物の宇宙船らのメカは旧素材の鉄か鉛(なまり)で出来ていて(プラやファイバー素材は皆無)、汎用性ある部品なく全く量産型ではなくて、ほぼ1点物、大量生産ではない。だから本映画に登場のマシーン類はレトロフューチャー(原始未来)な懐かしいものに感じてしまうのかも。鼻に鈴を付けて「クー」とか、劇中でのオフビートな演奏音楽らロシア風のシュールな前衛芸樹演劇のようだ(笑)。「惑星キン・ザ・ザ」で交換価値を認められた貨幣相当な物が、地球上での安価なマッチというのも面白い。この惑星にも賄賂(わいろ)を要求したり、人々を拘束・投獄する支配者はいて、彼らはわざとバカらしく滑稽(こっけい)に描かかれている。それが架空世界のSFに名を借りた、当時のソビエト共産党の独裁支配についての風刺映画に見えなくもない。ラストで、地球からキン・ザ・ザ星雲に瞬間移動した2人が再び地球に戻れて良かった。4(5点満点中)

不思議惑星キン・ザ・ザ

不思議惑星キン・ザ・ザ

  • スタニスラフ・リュブシン
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